「ありのままの自分を生きる」を実現する

研修

研修(コミュニケーションへの理解を深める)

 コミュニケーションといっても、その言葉の持っている意味やイメージは千差万別です。この項では、言葉によるコミュニケーションに行き詰まりを感じている方、あるいは言葉を使わないコミュニケーション手段について興味のある方、あるいは、コミュニケーション能力を向上させる手段を求めている方を対象にまとめてあります。

1. 問題意識
 いま、“コミュニケーション”について、教育や福祉といった分野だけでなく、社会全体のさまざまな分野の人々が意識を傾け始めています。何をするにもまず、「コミュニケーションが成立しなければ、トラブルに直結する」怖さに気づき始めている、あるいは多くの人々が実際にトラブルに巻き込まれて困っている、という言い方もできるでしょう。

 ところが、コミュニケーションとひと言で書いても、何を基準に理解を深めていけば良いのでしょうか。何を指針にコミュニケーション能力を高めていけば良いのでしょうか。
 ふれあい囲碁を活用するにあたり、まず、コミュニケーションがなぜ必要なのか、また、どのようなコミュニケーションが必要なのか、問題意識を深めることから始めます。

 たとえば、下の図をご覧ください。クイズです。社会問題のさまざまなテーマを書き出してあります。これらには共通点があります。その共通点とは何でしょうか。
これらのテーマは一例です
 (答え)相談できる相手、本音で話し合える相手がいないこと⇒孤立社会

 以上のような回答を用意しました。このクイズに使われているテーマは、ふれあい囲碁が生み出される背景となった、さまざまな社会問題です。これらに共通する人間関係の希薄化は、見方を変えればコミュニケーション不全とも言えるでしょう。

 そこで、「相談できる相手、あるいは本音で話し合える相手を見つけるためには何が必要か」を第一に考え、関係づくりの手段として、ふれあい囲碁をプログラム化してきました。

・ありのままの自分
 相談できる相手、あるいは本音で話し合える相手というのは、詰まるところ「ありのままの自分」を受け止めてくれる相手、ということです。

 「ありのままの自分」を隠すことなく生活している、あるいは「ありのままの自分」でいられる場所があるという人は、現代社会にどれほどいるでしょうか。
 もし、互いに「ありのままの自分」でいられたら、本音を出し合い、互いに共感したり、理解し合うことができるでしょう。仮に共感できずとも、互いの個性や違いを認め合うことができるでしょう。

 ふれあい囲碁というコミュニケーションプログラムは、決して理解し合うことを目的にしているわけではありません。理解し合うのかどうか、違いを認め合うかどうかは、人それぞれの個性や志向、相性の問題です。

 それ以前に、まず「ありのままの自分」でいられる関係をつくること。これがふれあい囲碁の目指すところです。そして、そのような関係をつくるプロセスをコミュニケーションと位置づけています。

2. “同じ目線”の体感
 教育や福祉の分野では、実に多くの場で使われている言葉です。ボランティア活動の基本的な心構えとしても、講義の最重要テーマとして登場します。

 なぜ、これほど多くの場で使われるのかというと、それだけ実現が難しいからです。“同じ目線”を別の言い方に変えると、“対等の立場”に立つといった感じになるでしょうか。

 これには、大きな問題が潜んでいます。「同じ目線になることが大切」という表現が使われるのは、何らかの研修の場であったり、教本に書いてあったりすることが多いはずです。
 ところが、これを別の角度からから言い換えると「高い視点を持つ人が、低い視点を持つ人に合わせる」という意味で使われていることを、ほとんどの人は意識していません。
 教える人 ⇒教えられる人
 施す人  ⇒施しを受ける人
 命令する人⇒命令される人
 このような力関係のなかで物事を起こすときに、トラブルなく進めていく心構えが、まさに「同じ目線になる」「対等の立場に立つ」ということになります。

 とくに教育や福祉の現場には、“同じ目線”になる能力を発揮して、見事にその場に溶け込んでいく達人がいます。
 逆に、一生懸命“同じ目線”になる努力をしているのに、うまくその場に溶け込めない人。相手から反発されたり、嫌がられたりする人もいます。

 ふれあい囲碁は、“同じ目線”になる仕組みを整えています。つまり、“同じ目線”を実現するためのプロセスをきちんと構造化しているため、プログラムを理解し、手順をつくすことで、自然に“同じ目線”を体現することができます。

・歩み寄る
 原理はとても簡単です。つまり、「教える人、教えられる人」「施す人、施しを受ける人」「命令する人、命令される人」のどちらも歩み寄って“同じ目線”になる、ということです。

 「高い視点を持つ人が、低い視点を持つ人に合わせる」という図式は、一方的な考え方に過ぎませんから、相手が視点をずらした時点で成立しません。そのため、「私はこんなに一生懸命がんばって、アナタのためにしてあげているのに」という気持ちが、「頼んでもいないのに余計なお世話だ」という相手の反発を招いたり、「申し訳ない」と気兼ねさせたりする結果を招くことになります。

 ふれあい囲碁はゲームを使いますが、ポイントは全員参加の対戦型であることです。石を取るという明確な目標に向かって、参加者一人ひとりが力を出し合います。
 ゲームを始めたとたん、それまで立場の違いで緊張していた参加者の表情がぐんと柔らかくなります。先生も生徒もなく、親も子もなく、上司も部下もなく、障害者も健常者もなく、外国人も日本人もなく、会場の空気が和やかになります。

 この時点で“同じ目線”は実現しているわけですが、そこに至るプロセスを理解することで、日常の仕事や生活全般に応用できるようになるでしょう。

3. 研修プログラム
 ふれあい囲碁には、指導員養成のための研修プログラムがあります。ふれあい囲碁を初めて経験し、その日から指導員として最低限の仕切りができる1回コースの研修。また、認知症やさまざまな障害をもつ人、外国人など、ルールの理解が進まなかったり、言葉が通じなかったりする場合でもコミュニケーションプログラムを実行できるよう、実技と理論を組み合わせた6回コースの研修を用意しています。

・ボランティア講習会で
 日本のボランティア活動は、子育て支援や高齢者支援、障害者支援といった社会福祉の分野、それに学校支援といった教育、あるいは環境の分野で盛んに行われています。この「ボランティア」という言葉の概念や、実際の活動状況が近年、急速に変化しています。

 なかでも社会福祉の分野では、介護保険制度の発足とともに、全国各地でボランティア活動が奨励され、さまざまな講習会が企画されています。
 その一環として、各市町村の社会福祉協議会主催のボランティア養成講座などで、ふれあい囲碁が活用されるようになりました。
 ボランティア活動に関心があるものの、「これといって特技がなく、どのように活動に参加すれば良いか分からない」といった市民ボランティアのみなさんを対象にした研修プログラム(1回コース)です。

 研修内容としては、まずふれあい囲碁の実践体験から始まり、人間関係が希薄化している社会状況の理解、コミュニケーションについての簡単な考察、ふれあい囲碁の活用法などを、映像資料を使いながら学びます。
 ふれあい囲碁の研修プログラムは、すぐに使える手段を伴っていますので、参加者の充実感もあり、研修を受けた翌日から地域活動に活用している事例もたくさんあります。

・意識を変え、技を磨く
 ふれあい囲碁の普及が進むにつれ、興味深いことが分かってきました。それは、ふれあい囲碁の実践を重ねるに従って、人間関係やコミュニケーションについての意識、考え方が変化してくることです。

 とくにスピード感あふれる現代社会では、すぐに結果を出すことや、確実な結果を出すためのマニュアル(ノウハウ)が求められます。ところが、人間関係については、そのような手軽な方法は存在しません。

 確かに、ふれあい囲碁の実践現場では、その場に和やかな空気が醸し出されたり、杖を手放せなかった高齢者が颯爽と自力歩行したりと、“感動的な場面”をたくさん見ることはできます。
 しかしながら、それは、ふれあい囲碁というプログラムによって描き出される一場面でしかありません。最終的な目的は、ふれあい囲碁をきっかけにした新しい人間関係づくりであり、そのことによって社会全体が体質改善していくことなのです。それには、ある程度の時間がかかります。

 そして、そのような意識でふれあい囲碁を実践していくと、参加者一人ひとりの表情や動きが、非常に細かく目に飛び込んできたり、肌で感じられるようになります。
 保育・教育現場あるいは高齢者・障害者福祉の現場で働く人が、日常の仕事のなかで、無意識に相手をよく観察するようになり、一人ひとりの心の動きが把握できるようになるようです。

研修は五感を鍛える実技がメインです

 近年、コミュニケーション能力の向上を目的とした研修メニューは、さまざまな形で提案されています。それもカウンセリングの分野であったり、営業の分野であったり、語学の分野であったりと、実に広い範囲でコミュニケーション能力が注目されています。

 こうした多くの研修メニューと比べると、ふれあい囲碁はかなり異色のメニューということができます。それは、コミュニケーションの一般論や理屈から入るのではなく、実際に“居心地の良い距離”や“安心できる距離”を体験し、そうした距離を作り出す具体的な方法を身に付けることを重視しているからです。

 「コミュニケーションの原理」の項目で触れましたが、コミュニケーションにおける言語の役割はわずか30%以下です。もっと厳しく「1割以下」だと指摘する専門家もいます。
 ということは、いくら上手に言葉を組み合わせて研修メニューを作っても、いくら分かりやすそうな理論を構築しても、「コミュニケーション」に関する研修であるかぎり、五感をフルに使ったコミュニケーションを深く学ぶことができません。

 逆に、研修メニューのほとんどを、非言語のプログラムで満たしているふれあい囲碁では、周囲からはゲームをして遊んでいるように見えるなか、本人は全身の感覚器官を総動員して、コミュニケーション能力を鍛えているというわけです。

 言語や理屈ではコミュニケーション能力は育たないと考えている方には、ぜひ、ふれあい囲碁を研修メニューとして活用していただくことをご提案いたします。

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